
エンゲージメントを高めるブランドマーケティングのコンテンツ戦略
つながりを「つくる」から、「深める」へ。
情報が溢れ、あらゆる選択肢が可視化された今、ブランドの価値は「知ってもらうこと」だけでは決まりません。
本当に意味のあるブランド体験とは、その後も“つながりつづける”ことができるかどうか。
このつながりの強さ、つまりエンゲージメントこそが、今のブランドマーケティングにおいて重要な指標のひとつです。
では、どうすればお客さまと継続的に信頼関係を築けるのか?
本記事では、そのためのコンテンツ戦略をブランド視点で紐解きます。
目次[非表示]
「認知」では終わらない時代に、なぜエンゲージメントが求められるのか?
かつては広告やPRで認知さえ取れれば、商品の価値や機能で勝負できる時代でした。
けれど現在、多くの市場で競合は飽和し、差別化が困難になっています。
そうした中で求められるのが、“選ばれた後”の関係性をどう築くか。
つまり、以下のような価値です。
・思い出してもらえるブランド
・応援されるブランド
・何かあったら相談したくなるブランド
この関係性を育むには、一方通行ではないコンテンツの在り方=エンゲージメントを意識した戦略が必要です。
そもそも「エンゲージメント」とは?
マーケティングにおけるエンゲージメントとは、ブランドと顧客とのあいだに築かれる「感情的なつながり」や「双方向の関係性」のこと。
たとえば以下のような行動がエンゲージメントの指標になります。
・SNSで投稿に反応した
・コンテンツをシェア、コメントした
・メールマガジンを毎回読んでくれている
・資料ダウンロードやイベントへの参加が定期的にある
・社名や担当者のことを覚えてくれている
単なるフォロワー数やPVでは測れない、“熱量のある接点”をどう生むかが問われています。
ブランド視点でのエンゲージメントコンテンツとは?
エンゲージメントを高めるには、ただ情報を発信すればいいわけではありません。
必要なのは、ブランドの価値観や哲学がにじむようなコンテンツ設計です。
私たちは、次の3つの視点でコンテンツを考えることが重要だと捉えています。
「役立つ情報」+「そのブランドらしさ」
情報にあふれた時代、「ためになる」だけのコンテンツはすぐに埋もれてしまいます。
では何が心に残るのか?それは、その情報の届け方や語り口に“らしさ”があるかどうかです。
たとえば:
・介護サービスの会社が「施設選びのポイント」を紹介する記事に、現場の声やスタッフの想いが自然に添えられていたら?
・製造業が書くトラブル対策の記事に、現場のリアルな写真と職人の言葉が載っていたら?
コンテンツには、ブランドの姿勢や美意識、体温が現れます。
そこに共感が生まれたとき、関係は一歩深まります。
「共感」と「対話」を意識した構成
情報発信の多くは一方向ですが、エンゲージメントを高めるには双方向の設計が不可欠です。
・コメントがしやすい問いかけ
・回答、感想を歓迎するトーン
・ストーリー調で共感を引き出す構成
・過去の声を引用し、読者との関係性を反映する記事
「これ、自分のことかも」と思えるような共感導線があると、お客さまは“読者”から“関係者”へと変化します。
発信の“温度”をコントロールする
実務情報やお知らせ系のコンテンツばかりでは、無機質に見えてしまいます。
一方で、トーンが軽すぎてもブランドの信頼性が揺らぎます。
ブランドマーケティングでは、「発信の温度感」を丁寧に調整することが求められます。
・信頼感がほしい時は、第三者評価や実績をベースにした情報設計
・親しみを出したい時は、社員の声や日常的な工夫の共有
・思いを届けたい時は、創業ストーリーやビジョンを語るロング記事
エンゲージメントとは、“温度”が伝わる設計でもあるのです。
戦略設計のステップ:エンゲージメントを生むコンテンツのつくり方
ここからは、実際にブランドのエンゲージメントを高めるためのコンテンツ戦略を、段階的に整理してみましょう。
STEP 1:目的の再定義
エンゲージメントはあくまで「目的達成のための手段」です。
・見込み顧客との関係性を強めたい?
・既存顧客のロイヤルティを育てたい?
・ファンを育成し、紹介、口コミにつなげたい?
目的に応じて、適切なコンテンツの“種類”と“温度感”を選定することが第一歩です。
STEP 2:お客さまとの関係フェーズを把握する
同じ情報でも、「初対面」と「リピーター」では響き方がまったく異なります。
カスタマージャーニー上のどのフェーズかを明確にし、それぞれに最適なコンテンツを設計します。
フェーズ |
コンテンツ例 |
認知 |
SNS投稿/1分動画/Web広告/LP |
興味 |
ノウハウ記事/事例紹介/比較コンテンツ |
検討 |
資料ダウンロード/FAQ/導入インタビュー |
体験 |
導入レポート/活用ブログ/メールマガジン |
共感 |
ビジョンストーリー/社員の声/ファン企画 |
推奨 |
お客さまの声/SNSキャンペーン/コミュニティ運営 |
STEP 3:ブランドらしさが伝わる「型」をつくる
コンテンツを単発で終わらせないためには、「自社らしさがにじむ型」を設けることが有効です。
たとえば──
・「○○式ノウハウ」など、自社独自の知見に名前をつける
・「お客さまに聞いてみた」シリーズで、共創性を打ち出す
・社内のプロジェクト日記や、リブランディングの舞台裏を連載形式で公開
継続するフォーマット=メディアとしてのブランドの“顔”にもなり得ます。
私たちが考えるエンゲージメントコンテンツのあり方
私たちは、単に「きれいなツールをつくる」ことではなく、関係性を深める“きっかけ”となるコンテンツづくりを大切にしています。
・パンフレットにストーリーの構造を取り入れる
・コーポレートサイトの更新情報に、社員の声を盛り込む
・サービス説明資料に、「なぜこの価値を届けるのか」という想いを語るページを設ける
発信のひとつひとつが“ブランドとつながる体験”になるように設計する。
それこそが、エンゲージメントを高める本質的なコンテンツ戦略だと捉えています。
まとめ
エンゲージメントとは、発信者と受信者が「一緒に関係を育てていく姿勢」そのもの。
コンテンツはその対話の場であり、ブランドの“人格”が現れる場でもあります。
届ける情報に、らしさと温度を。
つくる発信に、問いかけと共感を。
エンゲージメントを意識したブランドマーケティングは、短期的な成果よりも“選ばれつづける関係性”をつくる投資だと私たちは考えています。