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紙とWebのデザインは何が違う?求められる技術と専門性を解説

会社案内やパンフレットを制作する会社も、Webサイトを制作する会社も、一般的にはどちらも「デザイン会社」と呼ばれます。

そのため、デザイン会社であれば、紙の印刷物もWebサイトも同じように制作できると考えている方もいるかもしれません。

しかし、実際には紙とWebでは媒体の特性が異なり、デザイナーに求められる知識や技術にも違いがあります。

例えば、パンフレットや冊子では、ページをめくる順序や見開きの構成、文字組み、用紙、印刷・製本まで考える必要があります。一方、Webサイトでは、画面サイズに応じた表示や操作性、動的な表現など、Webならではの設計が求められます。

紙とWebは、どちらも情報を伝えるためのデザインですが、必要な専門性は同じではありません。

この記事では、紙ものデザインとWebデザインの違いを具体的に紹介し、制作会社を選ぶ際に知っておきたいポイントを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.紙とWebのデザインは何が違う?
  2. 2.紙ものデザインに求められる専門性とは?
    1. 2.1.1.ページをめくることを考えた編集・構成力
    2. 2.2.2.全体と個別のデザインフォーマットを設計する技術
    3. 2.3.3.書体選びと文字組みの技術
    4. 2.4.4.用紙や印刷・製本まで考える技術
  3. 3.紙ものデザインには、印刷後に修正できない責任がある
  4. 4.Webデザインに求められる専門性とは?
    1. 4.1.1.画面サイズに合わせたレイアウト設計
    2. 4.2.2.操作性や情報への導線を設計する技術
    3. 4.3.3.動的な表現や実装との連携
  5. 5.紙のデザイナーならWebもデザインできる?
  6. 6.デザイン会社を選ぶときに確認したいこと
  7. 7.まとめ

紙とWebのデザインは何が違う?

紙とWebのデザインには、共通する基本的な考え方があります。

例えば、情報の優先順位を整理すること、読みやすい文字を選ぶこと、写真や色を効果的に使うことなどです。

どちらも、見た目を美しく整えるだけでなく、伝えたい情報を相手にわかりやすく届けることが目的です。

しかし、情報を伝える仕組みには大きな違いがあります。

紙の印刷物は、決められたサイズやページ数の中で情報を構成します。冊子であれば、読み手がページをめくることを想定し、全体の流れや見開きごとの展開を考えます。

一方、Webサイトは、スクロールやクリック、タップなどの操作を通じて情報を閲覧します。また、パソコンやスマートフォンなど、閲覧する環境によって表示のされ方も変わります。

つまり、紙は限られた紙面とページの連続性を設計し、Webは画面上の情報と利用者の操作を設計するという違いがあります。

この違いによって、制作に必要な技術や確認すべき項目も変わってきます。

紙ものデザインに求められる専門性とは?

紙ものデザインには、ポスターやチラシのような一枚ものから、会社案内、パンフレット、カタログ、書籍などのページものまで、さまざまな種類があります。

特にページ数のある制作物では、1ページずつ美しくデザインするだけでは十分ではありません。

冊子全体の構成や統一感、読み進めやすさ、印刷・製本の仕上がりまで考える必要があります。

1.ページをめくることを考えた編集・構成力

冊子には、Webサイトのスクロールとは異なる「ページをめくる」という動作があります。

例えば、最初の見開きで企業の世界観を伝え、次のページで事業内容を紹介する。章の切り替わりに扉ページを設け、読み手の意識を切り替える。

このように、情報をどの順番で見せるかによって、読み手の理解や印象は変わります。

また、冊子では左右のページを同時に見ることが多いため、見開き全体のバランスも重要です。

写真を大きく見せるページと、情報を詳しく説明するページに変化をつけることで、単調にならず、読み進めやすい構成をつくることができます。

ページ構成そのものが、情報の伝わり方を左右するデザイン要素なのです。

2.全体と個別のデザインフォーマットを設計する技術

ページ数の多い冊子では、全体に統一感を持たせるためのデザインフォーマットが必要です。

例えば、文字の大きさや配置、余白、見出しの扱いなどに共通のルールを設けることで、冊子全体の印象を統一します。

一方で、すべてのページを同じレイアウトにすればよいわけではありません。

企業理念を紹介するページ、事業内容を説明するページ、実績を紹介するページなど、情報の性質に応じて適した見せ方は異なります。

そのため、全体の基本フォーマットを設計したうえで、ページの役割に応じた個別フォーマットを用意することがあります。

また、冊子には次のような固有の要素もあります。

  • 扉: 章や内容の区切りを示し、読み手の意識を切り替えるページ

  • 口絵: 本文の前などに設ける写真や図版を中心としたページ

  • 柱: ページの上部や下部などに配置する章名や項目名

  • ノンブル: ページ番号

  • 目次・索引: 必要な情報を探しやすくするための要素

これらは単なる装飾ではありません。

読み手が冊子の構成を理解し、必要な情報を見つけやすくする役割を持っています。

冊子全体の統一感と、ページごとの表現の変化を両立させることも、紙ものデザインに求められる専門技術です。

3.書体選びと文字組みの技術

紙ものデザインでは、文字の扱いも完成度を大きく左右します。

和文・欧文ともに多様な書体があり、企業やブランドの特徴、制作物の目的に合わせて選択することができます。

例えば、伝統や格式を感じさせたい場合と、親しみやすさや先進性を表現したい場合では、適した書体が異なります。

ただし、重要なのは書体を選ぶことだけではありません。

文字の大きさ、字間、行間、行の長さ、漢字とかなのバランスなどを調整し、読みやすく美しい紙面をつくる必要があります。

また、日本語の文字組みでは、句読点や括弧などが不自然な位置に配置されないようにする禁則処理なども重要です。

本文の読みやすさを保ちながら、見出しや写真とのバランスを整えるには、タイポグラフィに関する知識と経験が求められます。

Webでも書体や文字組みは重要ですが、閲覧環境や画面サイズ、表示速度などを考慮する必要があり、設計上の条件が異なります。

紙ものデザインでは、豊富な書体の中から適切なものを選び、細部まで文字を組み上げる技術が、品質を支えています。

4.用紙や印刷・製本まで考える技術

紙ものデザインでは、画面上のデザインが完成すれば仕事が終わるわけではありません。

実際に印刷・製本されたときの仕上がりまで考える必要があります。

例えば、会社案内を制作する場合、表紙には厚みのある用紙を使い、手に取ったときの風格や信頼感を演出することがあります。

一方で、中面には比較的薄い用紙を使用し、全体の印刷費用を抑えるという方法も考えられます。

ただし、単純に薄い紙を選べばよいわけではありません。

裏面の文字や写真が透けないか、色が適切に再現されるか、ページをめくりやすいかなどを確認する必要があります。

また、用紙の種類や厚み、表面の質感によって、写真や文字の印象も変わります。

さらに、製本方法によっては、見開きの中央部分が見えにくくなるため、文字や写真の配置にも配慮が必要です。

このように、用紙や印刷・製本の知識を活かし、品質と予算のバランスを考えることも、紙ものデザイナーの重要な仕事です。

紙ものデザインには、印刷後に修正できない責任がある

紙ものデザインの専門性を考えるうえで、もうひとつ知っておきたいのが品質管理の重要性です。

Webサイトは、公開後に誤字や表示の不具合が見つかった場合、データを修正して再公開できることが多い媒体です。

一方、印刷物は、一度印刷・製本してしまうと、データを修正するだけでは完成品を直すことができません。

例えば、会社案内を数千部印刷した後に、重要な数値や企業情報の誤りが見つかった場合、刷り直しが必要になることがあります。

その場合、印刷費用だけでなく、納期の遅延や配布計画への影響など、大きな損失につながる可能性があります。

そのため、印刷物の制作では、入稿前の校正やデータ確認が極めて重要です。

誤字脱字や数値、写真、ページ順、色、裁ち落とし、製本仕様など、確認すべき項目は多岐にわたります。

もちろん、掲載内容の最終確認には発注者側の責任もあり、Webサイトにも公開時の品質管理や情報の正確性が求められます。

しかし、印刷物には、完成後の修正が容易ではないという特有のリスクがあり、それを未然に防ぐための知識と責任が求められます。

見た目の美しさだけでなく、安心して印刷・納品できる状態まで仕上げることも、プロの仕事なのです。

Webデザインに求められる専門性とは?

一方、Webデザインには、紙ものデザインとは異なる専門性があります。

Webサイトは、閲覧者が操作しながら情報を探す媒体です。

そのため、画面上の見た目だけでなく、使いやすさや情報へのたどり着きやすさを考える必要があります。

1.画面サイズに合わせたレイアウト設計

Webサイトは、パソコンやスマートフォン、タブレットなど、さまざまな画面で閲覧されます。

そのため、ひとつの画面サイズだけを想定してデザインするわけにはいきません。

画面の幅に応じて文字や画像の配置を変え、どの環境でも読みやすく、操作しやすい状態を保つ必要があります。

こうしたレスポンシブデザインの考え方は、紙ものとは異なる技術です。

2.操作性や情報への導線を設計する技術

Webサイトでは、閲覧者がメニューを選んだり、ボタンを押したりしながら情報を探します。

そのため、必要な情報を見つけやすい構成や、迷わず操作できる画面設計が重要です。

例えば、サービスの内容を知りたい人が目的のページへたどり着けるか、問い合わせをしたい人が迷わずフォームを見つけられるか、といったことを考えます。

こうした利用者の行動を踏まえた設計には、UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザー体験)に関する知識が必要です。

3.動的な表現や実装との連携

Webサイトでは、スクロールに応じたアニメーションや、クリックによって表示内容が切り替わる仕組みなど、動的な表現を取り入れることができます。

ただし、動きが多ければよいわけではありません。

情報を理解しやすくするために必要なのか、操作の妨げにならないかなどを考えることが重要です。

また、デザインを実際のWebサイトとして動かすためには、HTMLやCSS、JavaScriptなどの技術が関わります。

デザイナー自身がすべてを実装するとは限りませんが、実現できる表現や技術的な制約を理解し、実装担当者と連携することが求められます。

Webデザインでは、画面上の表現に加えて、利用者の操作や表示環境、技術的な仕組みを踏まえた設計が重要になります。

紙のデザイナーならWebもデザインできる?

紙ものデザインとWebデザインには、共通する基本的な技術があります。

情報の優先順位を整理すること、文字や写真を効果的に配置すること、企業やブランドの特徴を視覚的に表現することなどです。

そのため、紙ものデザインで培った知識や経験をWebデザインに活かすことはできます。

特に、情報量の多いコーポレートサイトやサービスサイトでは、情報を整理し、わかりやすく構成する力が役立ちます。

しかし、紙ものデザインの経験が豊富だからといって、Web特有の操作性やレスポンシブデザイン、動的な表現などに自動的に対応できるわけではありません。

反対に、Webデザインを得意とするデザイナーであっても、文字組みや印刷・製本、ページものの編集設計などについては、別の知識や経験が必要になります。

つまり、デザインの基本的な考え方は共通していても、それぞれの媒体に必要な専門技術を身につける必要があるということです。

紙とWebの両方を扱うデザイン会社であれば、それぞれの専門性をどのような体制で確保しているかも重要になります。

デザイン会社を選ぶときに確認したいこと

会社案内やパンフレット、Webサイトなどの制作を依頼する際には、デザイン会社の制作実績だけでなく、その媒体に必要な専門性を持っているかを確認することが大切です。

例えば、ページ数の多い会社案内やカタログを依頼する場合は、単にデザインが美しいかどうかだけでなく、情報の整理やページ構成、文字組みなどにも注目するとよいでしょう。

また、印刷物であれば、用紙や印刷・製本について相談できるか、入稿前の品質管理をどのように行っているかも判断材料になります。

一方、Webサイトを依頼する場合は、スマートフォンへの対応や操作性、公開後の更新などについて確認することが重要です。

具体的には、次のような点を確認するとよいでしょう。

  • 制作実績: 依頼したい媒体と同じ種類の制作経験があるか

  • 企画・編集: 情報整理や構成から相談できるか

  • 専門技術: 紙やWeb、それぞれの媒体に必要な知識があるか

  • 品質管理: 校正や確認作業をどのように進めているか

  • 制作体制: 必要な専門家が関わり、各工程を適切に管理できるか

また、紙とWebの両方を制作する場合は、それぞれを別々に考えるだけでなく、企業としての印象やメッセージに一貫性を持たせることも重要です。

媒体ごとの専門性を活かしながら、企業の価値を一貫して伝えられるかという視点も、デザイン会社を選ぶ際の判断材料になります。

まとめ

紙ものデザインとWebデザインは、どちらも情報をわかりやすく伝えるための仕事ですが、求められる専門性には違いがあります。

紙ものデザインでは、ページをめくることを考えた編集・構成力、文字組み、デザインフォーマットの設計、用紙や印刷・製本の知識などが重要です。

さらに、印刷後の修正が難しいことから、入稿前の校正や品質管理にも高い責任が伴います。

一方、Webデザインでは、画面サイズに応じたレイアウトや操作性、動的な表現、実装との連携など、Webならではの知識や技術が必要です。

紙とWebのどちらが優れているかではなく、それぞれの媒体に適した専門性を持っているかが重要なのです。

会社案内やパンフレット、Webサイトなどを制作する際には、見た目の印象だけでなく、完成までに必要な技術や仕事の内容にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

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