経営者が持つべき“デザイン視点”とは？考える力の鍛え方

経営において「デザイン」という言葉を聞いたとき、ロゴや広告、製品の見た目を思い浮かべる方も多いかもしれません。

しかし近年、ビジネスの成長において“装飾”としてのデザインだけでなく、本質的な価値を創造する手段としての「デザイン視点」が注目されています。

この「デザイン視点」は、企業が複雑で変化の早い時代を乗り越えていくうえで、経営者自身が身につけておくべき重要な力です。

本記事では、経営者にとっての「デザイン視点」とは何か、なぜ必要なのか、そしてどのようにその考え方を鍛えていくのかについて解説します。

デザイン視点とは？単なる“見た目”ではない

デザイン視点とは、人の課題に向き合い、本質的な解決策を導く思考の姿勢です。

美しいビジュアルや洗練されたプロダクトを生み出すことではなく、

・何が本当の課題なのか？

・その背景にどんな価値観や行動があるのか？

・どのようにすれば体験として意味あるものに変えられるか？といった問いを立て、仮説をつくり、試し、改善するというプロセスそのものです。

つまり、顧客や社員の“見えないニーズ”を捉え、提供価値を再定義する力とも言えるでしょう。

VUCA時代と呼ばれる現代は、正解が一つではなく、過去の成功体験が通用しない時代です。その中で、経営者が「これまでの常識」にとらわれていると、変化の兆しを見逃してしまうリスクがあります。

そこで役立つのが、思い込みを疑い、多様な視点で物事を捉える「デザイン視点」です。以下のような場面で、その効果が発揮されます。

・サービスの再構築やリブランディング時の意思決定

・社員や顧客の声を踏まえた組織、プロダクト開発

・事業の“未来価値”を描くための構想力

経営者自身がこの視点を持っていると、組織全体に探究心と創造性が浸透し、変化に強い企業文化へとつながります。

では、具体的にどのようにして「デザイン視点」を鍛えていけばよいのでしょうか。以下の3つのアプローチが有効です。

現象や数字の結果だけでなく、「なぜこうなったのか？」という問いを持つことで、課題の本質に迫る力が磨かれます。経営会議や日々の対話でも、答えではなく“問い”からスタートしてみましょう。

数字だけではわからない、現場や顧客の行動・感情に触れることで、想像を超えるヒントが得られます。経営者自らがフィールドに出ることが、共感力と気づきを育みます。

完璧な計画を求めるのではなく、「まず試して、改善する」というスタンスが重要です。スモールスタートで仮説検証を重ねることで、柔軟な変化対応力が養われます。

経営に活きるデザイン視点とは、課題に向き合う力、価値を見直す力、未来を描く力です。

見た目を整えるだけのデザインではなく、企業の根幹に関わる思考の道具として、経営者自身がデザイン視点を持つこと。

それが、変化の激しい時代を乗り越え、価値ある企業を築くための第一歩です。

私たちは、「思考のデザイン」を軸に、企業と社会にとって意味のある未来をつくるお手伝いをしています。